被扶養者資格の認定要件
健康保険の被扶養者として認定されるには一定の条件が必要です。健康保険法の条文は次のとおりです。
被扶養者の範囲
健康保険法第3条第7項
この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、※1日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者※2その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。(下線部分、令和2年4月1日改正)
一 被保険者の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)子、孫、及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
二 被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
三 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
※1国内居住要件の例外となるもの
@
外国において留学をする学生
A
外国に赴任する被保険者に同行する者
B
観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
C
保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、Aと同等と認められる者
D
@から⓸に掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
※2法律の適用を除外する者
@
日本の国籍を有しない者であって出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦に相当期間滞在して、病院若しくは診療所に入院し疾病若しくは障害について医療を受ける活動又は当該入院の前後に当該疾病若しくは障害について継続して医療を受ける活動を行うもの及びこれらの活動を行う者の日常生活上の世話をする活動を行うもの
A
日本の国籍を有しない者であって入管法第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において一年を超えない期間滞在し、観光、保養、その他これらに類似する活動を行うもの
また、被保険者と被扶養認定対象者との生計維持関係を判断する参考として厚生労働省からの通達が次のとおりとなっています。
収入がある者についての被扶養者の認定について
昭和52年4月6日付厚生省(現厚生労働省)保険局長からの通達(一部抜粋)
健康保険法第1条第2項(現第3条第7項)各号に規定する被扶養者の認定要件のうち「主としてその被保険者により生計を維持するもの」に該当するか否かの判定は、専らその者の収入及び被保険者との関連における生活の実態を勘案して、保険者が行う取り扱いとしてきたところであるが、今後下記要領を参考として被扶養者の認定を行われたい。
1 被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)が被保険者と同一世帯に属している場合
@ 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上である場合又は概ね厚生年金保険法による障害年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は、原則として被扶養者に該当するものとすること。
A 前記@の条件に該当しない場合であっても、当該認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上である場合又は概ね厚生年金保険法による障害年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、当該世帯の生計を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えないこと。
2 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上である場合又は概ね厚生年金保険法による障害年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合には、原則として被扶養者に該当する者とすること。
3 上記1及び2により被扶養者の認定を行うことが実態と著しくかけ離れたものとなり、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合には、その具体的事情に照らし最も妥当と認められる認定を行うものとすること。
組合員様からお預りした限られた保険料により健康保険事業を運営するためには、被扶養者の認定について、家族の年収と被保険者との関係や扶養能力、生計維持の実態等を総合的に審査し、厳正かつ公平な判定を行います。
その他、留意いただきたい事項
1 失業給付金、出産手当金等
退職を理由とする申請の場合、雇用保険から支給される失業等給付金の扱いについては次の通りとします。
雇用保険失業給付基本手当の日額が、認定対象者が60歳以上の場合は5,000円未満、また60歳未満の場合3,611円以下であれば、受給期間中であっても被扶養者として認定します。
退職してから雇用保険失業給付を受給するまでの期間(待機及び給付制限のため)については、被扶養者として認定します。ただし、受給開始した場合にAの基本手当の日額を超える場合は、早急に被扶養者の削除(抹消)の手続きをしてください。
また、出産手当金※を受給している方についてはその日額にかかわらず、受給期間中は収入があるものとみなし被扶養者として認定はできません。ただし、認定対象者の出産(予定)日により受給時期が異なるため、退職日から出産手当金の給付開始日までに期間がある場合、支給期間を前倒しにして退職日の翌日から98日間を経過してから、認定することとします。
退職日 |
扶養認定日 |
支給開始日 |
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前倒しの受給期間 |
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本来の受給期間 |
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※ 1年以上被保険者の資格がある者が資格喪失後6ヵ月以内に出産した場合、出産手当金(産前産後合わせて98日間)を受給することができます。
抹消の期間
収入があることによる被扶養者の抹消の期間は、原則は収入のある期間となりますが、その年の年間の収入が扶養認定の限度額より多いため抹消した場合は、抹消の手続きをした日から最低1年間は抹消することとします。
2 夫婦共同扶養の場合
1.被扶養者の人数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだ額)が多い方の被扶養者とします。
2.夫婦の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により主として生計を維持している者の被扶養者とします。
3.他保険者で不認定とされた方の認定申請の場合、他保険者発行の不認定通知書の内容と併せて審査を行います。
4.夫婦の年間収入の逆転等に伴い被扶養者資格を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者が扶養認定をすることを確認してから削除することとします。
5.主として生計を維持する者が育児休業等を取得した場合、育児休業等期間中は、被扶養者を異動しないこととします。新たに誕生したお子様については改めて認定手続きを行うこととします。これにより、お子様が夫婦別々の被保険者の被扶養者となるケースも発生します。
【添付書類】
・ 配偶者の年間収入が確認できる書類
・ 3に該当する場合は、他保険者発行の不認定通知書のコピー
なお、被扶養者認定の際、被扶養者変更届と共に提出していただく書類につきましては、被扶養者の認定申請をする際必要となる添付書類についてを御覧ください。
3 被扶養者の国内居住要件等について
令和2年4月1日以降、被扶養者となるためには住民票が日本国内にあることが原則的に必須となっています(但し、住民票が日本国内にあっても、海外で就労しており、明らかに日本国内での居住実態がない場合には国内居住要件を満たさないものと判断します)。
(1)海外に在住するなど、住民票が日本国内にない場合
原則として、被扶養者となることができません。
但し、住民票が日本国内にない場合でも、下表左欄に該当する場合、例外的に被扶養者となることができます。この場合、被扶養者(変更)届の海外特例要件理由欄の該当理由を〇で囲み、下表右欄の書類を添付してください(なお、書類が外国語で作成されているときは、翻訳者の氏名が記載された日本語の翻訳文を添付してください)。
この取扱いに伴い、被扶養者(変更)届の様式に海外特例要件理由欄を追加します。
例外該当事由 |
添付書類 |
査証及び学生証、在学証明書、入学証明書等の写し |
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A 外国に赴任する被保険者に同行する方 |
査証及び被保険者の海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書の写し |
B 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する方 |
査証及びボランティア派遣機関の証明、ボランティアの参加同意書等の写し |
C 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた方であって、Aと同等と認められるもの |
出生や婚姻等を証明する書類等の写し |
D @からCまでに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる方 |
個別に判断 |
(2)日本国内に在住しているが、被扶養者となれない場合
日本国内に住民票を有さない方は被扶養者となることができません。
また、日本での滞在目的が下記に該当する方は、日本に生活基盤があるとは認められないため被扶養者となることができません。但し、経過措置として、令和2年4月1日時点において国内の保険医療機関に入院中の場合は、入院申込書、入院診療計画書の写しを提出いただくことにより、退院するまで被扶養者となることができます。
日本の国籍を有しない方で、日本に相当期間滞在して、病院若しくは診療所に入院し疾病もしくは傷害について医療を受ける活動又は当該入院の前後に当該疾病若しくは傷害について継続して医療を受ける活動を行う方及びこれらの活動を行う者の日常生活上の世話をする活動を行う方(医療滞在ビザなどで国内におられる方) |
日本の国籍を有しない方で、日本において一年を超えない期間滞在し、観光、保養、その他これらに類似する活動を行う方 |